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エンジニアの椅子選び。10万円の投資は正解だったか

オフィスチェア

エンジニアの仕事道具で一番大事なのは、キーボードでもモニターでもなく椅子だと思っている。1日10時間以上座る道具に投資しない理由がない。

安い椅子で2年間過ごした結果

リモートワークが始まった時、とりあえず1万円の椅子を買った。「仕事用の椅子なんて座れればいい」と思っていた。

最初の半年は特に問題なかった。でも1年を過ぎたあたりから、夕方になると腰に鈍い痛みが出るようになった。最初は「運動不足だろう」と軽く考えていた。ストレッチやヨガマットを買って対処したが、根本的な改善にはならなかった。

2年後、腰が痛くなった。肩こりもひどい。整体に月2回通うようになった。整体代が月1万円。椅子をケチった結果、体のメンテナンスにお金がかかるようになった。朝起きた時点で腰が重い日もあった。コードを書いている途中で姿勢を直す回数が増え、集中が途切れる。安い椅子の代償は、思った以上に大きかった。

10万円の椅子を買った

思い切って10万円のオフィスチェアを買った。メッシュ素材、ランバーサポート付き、アームレスト高さ調整可能。

正直、椅子に10万円は勇気がいった。でも計算してみた。1日10時間、年間250日使うとして、5年使えば1日あたり80円。缶コーヒーより安い。

椅子のコスト計算

安い椅子と高い椅子、具体的に何が違うのか

1万円の椅子と10万円の椅子の違いを、実際に使い比べて感じたポイントを整理する。

座面のクッション性と耐久性。安い椅子はウレタンフォームが薄く、半年もすると座面がへたる。座った瞬間に底板の硬さを感じるようになる。高い椅子はクッションの密度が高いか、メッシュ素材で体圧を分散する構造になっている。2年経っても座り心地が変わらない。

調整機構の数と精度。安い椅子は座面の高さしか変えられない。高い椅子は座面の高さ、奥行き、リクライニングの角度と固さ、ヘッドレストの位置、アームレストの高さ・前後・左右・角度まで調整できる。自分の体に合わせて細かく追い込めるから、長時間座っても負担が少ない。

背もたれのフィット感。安い椅子の背もたれはフラットで、腰のカーブに沿わない。結果として猫背になるか、逆に反りすぎて腰を痛める。高い椅子はランバーサポートで腰椎のS字カーブを保ち、背骨全体が自然な姿勢を維持できる。

椅子選びの比較ポイント

椅子を買う前に、チェックすべきポイントを具体的に挙げる。

座面の奥行き調整。太ももの長さは人によって違う。座面の奥行きが調整できないと、膝裏が圧迫されて血行が悪くなる。座った時に膝裏と座面の間に指2〜3本分の隙間ができるのが目安。身長170cm前後の人でも、座面の深さが合わない椅子は多い。

ランバーサポートの調整幅。腰のカーブを支える機能。固定式と可動式がある。固定式は位置が合わないと逆に辛い。上下に動かせるタイプか、強さを調整できるタイプを選ぶと失敗しにくい。自分の場合、ランバーサポートの位置を1cm変えるだけで腰の楽さが変わった。

アームレストの調整範囲。肘が90度になる位置でキーボードに手を置けるのが理想。アームレストが低すぎると肩が下がり、高すぎると肩が上がる。どちらも肩こりの原因になる。4D調整(高さ・前後・左右・角度)ができるものだと、デスクの高さに合わせて追い込める。

メッシュ素材かクッション素材か。夏場にPUレザーの椅子は蒸れる。メッシュなら通気性があって快適。ただしメッシュは座面の沈み込みが少なく、好みが分かれる。クッション素材が好きなら、高密度モールドウレタンを使った製品が耐久性が高い。

リクライニングのロック機構。コーディング中は少し前傾、コードレビューやドキュメント読みの時は少しリクライニングしたい。リクライニングの角度をロックできる椅子だと、作業内容に合わせて姿勢を変えやすい。

体の変化

買い替えて1ヶ月後、明確な変化があった。

腰痛が軽減した。完全になくなったわけじゃないけど、夕方の腰のだるさが減った。ランバーサポートが腰椎のカーブを支えてくれる効果。以前は作業終わりに腰を押さえながら立ち上がっていたのが、普通に立てるようになった。

肩こりが減った。アームレストの高さを調整できるから、肘が90度になる位置でタイピングできる。安い椅子はアームレストが固定で、高さが合わなかった。アームレストに肘を置けるようになったことで、肩への負担がかなり減った。

集中力が持続する。体が痛くないから、作業に集中できる時間が長くなった。以前は2時間で休憩が必要だったのが、3〜4時間集中できるようになった。姿勢を直すために意識を奪われることがなくなったのが大きい。

椅子だけでは足りない。デスクワークの腰痛対策

「高い椅子を買えば解決」ではない。椅子はあくまで環境の一部。自分が実践している腰痛対策を書いておく。

1時間に1回は立ち上がる。どんなに良い椅子でも、長時間座り続ければ腰に負担はかかる。Macのリマインダーで1時間ごとに通知を出して、5分間は立って過ごす。水を汲みに行く、窓の外を見る、その程度でいい。

デスクの高さを合わせる。椅子の高さを最適にしても、デスクが高すぎたり低すぎたりすると台無しになる。椅子に座った状態で、肘が90度、手首がまっすぐな位置にキーボードがくるのが正解。合わない場合はキーボードトレーやモニターアームで微調整する。

モニターの高さを目線に合わせる。モニターが低いと頭が前に出て、首と肩に負担がかかる。モニターの上端が目線の高さになる位置にモニターアームやスタンドで調整する。ノートPCだけで仕事をしている人は、外付けモニターかスタンドを使ったほうがいい。

ストレッチの習慣化。朝と作業後に5分間、腰と肩周りのストレッチをする。特に腸腰筋のストレッチが効く。座りっぱなしだと腸腰筋が縮んで固まり、立った時に腰が反る原因になる。

デスク環境全体の最適化

試座のすすめ

20万円の椅子でも、自分の体に合わなければ意味がない。実店舗で試座するのが一番確実。

試座する時のポイントがある。まず、最低20分は座ること。5分座っただけでは分からない。20分座ると、座面の硬さやランバーサポートの位置が合っているかが見えてくる。次に、実際のデスクワークの姿勢で座ること。背筋をピンと伸ばして座るのは試座の時だけで、実際にはキーボードを叩く前傾姿勢が多い。

オンラインで買う場合は、返品可能なものを選ぶ。自分の場合は実店舗で3脚に絞ってから、最終的に家でのデスクの高さとの相性を確認して決めた。

整体に行く回数が減った

椅子を買い替えてから、整体に行く頻度が月2回から月1回に減った。整体代が半額。年間で6万円の節約。

10万円の椅子が、2年で元が取れる計算。健康と生産性を考えると、もっと早く買えばよかった。

整体の先生にも「座る環境を変えたのが一番効いている」と言われた。マッサージで対処するより、原因を取り除くほうが根本的な解決になる。体が痛くならない環境を先に作って、それでも残る痛みを整体で対処する。順番が逆だった。

まとめ。椅子はエンジニア最優先の投資

エンジニアの仕事道具への投資は、椅子が最優先。キーボードやモニターは後でいい。まず座る環境を整えるべき。

10万円は高い買い物に感じるが、1日80円で腰痛が軽減し、集中力が上がり、整体代が減る。コスパは十分。「椅子に10万円?」と思う人ほど、今の椅子のせいで気づかないうちに体と集中力を削っている可能性がある。

椅子選びで失敗しないコツは、スペック表だけで判断しないこと。同じ機能でもメーカーによって使い心地は全然違う。可能なら試座して、自分の体と作業スタイルに合うものを選ぶ。高い買い物だからこそ、焦らず選んでほしい。

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